2014年07月18日

直木賞に黒川博行さんの「破門」

直木賞に黒川博行さんの「破門」7月17日 19時57分

直木賞に黒川博行さんの「破門」

第151回芥川賞と直木賞の選考会が17日夜、東京で開かれ、直木賞に黒川博行さんの「破門」が選ばれました。

黒川さんは65歳で、歴代で3番目の年齢での受賞となりました。
直木賞の受賞が決まった黒川博行さんは、愛媛県出身の65歳。
高校の美術教師を経て作家になり、警察やヤクザ、ばくちなどをテーマにしたハードボイルド小説を書き続けています。
直木賞は6回目の候補で受賞となりました。
受賞作の「破門」は、裏稼業で細々と生計を立てている自称建設コンサルタントと、経済ヤクザの男2人を主人公にした人気ハードボイルドシリーズの5作目です。
主に大阪を舞台にして、腐れ縁の主人公2人が、映画の出資金を持ち逃げした男の行方を追うという物語で、緊張感のあるストーリー展開と大阪弁の軽妙な会話で、一筋縄ではいかない人間関係を描いています。

直木賞に黒川博行さんの「破門」 NHKニュース

黒川博行さん「遊んでもらってありがとう
2014.7.17 23:45

 候補6度目、『破門』で念願の直木賞に輝いた黒川博行さん(65)。紺地に波濤(はとう)を描いた和柄シャツ、チノパンというリラックスした姿で帝国ホテル(東京都千代田区)の会見場に現れた。

 −−最初に一言

 「ありがとうございます。まさか受賞できると思ってなかったし、今まで5回落ちて、また今回も最後はカラオケでも行こうかなと思って、麻雀してました。6000円勝ちました。ここでもっと勝ったらいけないと。まあお金くれるんであれば…もっと欲しいですけど。今日はまた12時か1時から麻雀すると思います」

 《場内、爆笑》

 −−選評の中で(選考委員の)伊集院静さんが「きちんとした作家」と言っていたが、受賞の瞬間、雀荘(じゃんそう)はどうなったか

 「版元のKADOKAWAの編集者とやってました。僕は携帯持ってないんですけど、嫁はんの携帯を借りてきまして、7時半前くらいに携帯が鳴って、あ、きたな、と。受賞しましたと。皆、乾杯してくれました。ありがたいなと思いました。『きちんとした作家』というのは、自分ではわからんです。でも、書いてるときに、いつも読者を意識してます。ここを面白く読んでほしいな、と意識して書いてるつもりです。そこが作家らしいといえば作家らしいかもしれません」

 −−なんで雀荘?

 「待つのが嫌やったからです」

 −−これまで5回、残念でしたが
「そりゃトラウマになってます。何回も何回も落ちて落ちて落ちて…。待ち会は嫌なんです。編集者と集まって待ってるんですけど、7時過ぎると妙にシーンとなるし、電話を受けた自分が落ちた瞬間にどんな顔してええか、すごく感じてまして。麻雀してるんやったらそんなに暗い顔もしないで普通に待てるかなと思いました」

 −−デビュー30年、候補6回目にしての受賞、感慨はいかがですか

 「デビュー30年で32、3冊しか書いてない。よくここまで生き残ってこれたなという感慨はあります。なおかつ賞の候補に何回もしていただいて、自分は運が強いなといつも思ってます。この運が功を奏しまして、また、大きい賞をいただきました。ありがたいと思います」

 −−直木賞に選ばれた効用は。原稿料が上がると以前、おっしゃっていたような気がするが

 「たぶん原稿料は上がらないと思います。とりあえず、本が売れます。物書きとしては、たくさんの人に読んでもらうのが一番うれしいこと。これから増刷して10万冊単位でもし売れるとすれば、ありがたい。僕の本は単行本の段階で5万以上売れたことはないです。今回、10万部くらい売れたら、たぶん税金(印税)たくさん入ってくるので、車でも買おうかなと思っています」

 −−受賞作で生まれ故郷である愛媛県今治市が出てくるが、今治を取材して満足に描けたか

 「ぼくはあんまり外に出歩くの、好きやないんで、取材もあまり好きやないです。今治であれば自分の生まれ故郷やし、土地勘もあるし、土地勘もあるし楽やなあと。今回マカオに行ったのも、自分が博打しに行きたかったから。いつもええかげんな理由。次はどこに行こうかなと」
−−今治が影響を与えた部分は。受賞されて、今治の方へ戻られる予定は

 「両親は伊予弁をしゃべってましたんで、何をしゃべってるのかはわかるんですが、自分は今治の方言を話せない。本家もありませんし、帰れない。僕は大阪来たのが幼稚園のときですから、今治人ではなく大阪人になってます。今治に対して何かできることがしたいと思いますけど、たぶんないと思います」

 《会場、また笑い》

 −−黒川さんの小説は大阪弁の語りの面白さがある。こだわりはあるのか

 「僕の小説読んで、よくせりふ回しが漫才のようであるとよく言われるが、わりと不本意なんです。上方落語は大好きでよく聴きます。大阪人というのは、ことさら面白い会話をしようと考えてるわけではなくて、日頃しゃべっている言葉があんなんです。だから作品の中で、ここで笑わそうとか、ここでしゃれたことを言わそうとか、意識したことはないです。大阪人の特性として、あんな風にせりふが出てくる。ただし、せりふを考えるのはすごく時間がかかります。僕の場合は地の文よりもせりふにずっと時間をかけて、ああでもない、ここでもないという風に、パソコンの前で悩んでいる。ブラインドタッチはもちろんできません。ミスタッチも多いし、キーを打つのも遅い。1時間でだいたい1枚くらいしか書けません。せりふなんか軽やかにリズミカルに書けてると思われてるが、ものすごく時間をかけてます」

 −−雀荘で今日、上がった一番高い役は

 「リーヅモ、イーペーコウ、タテホン、ドラ2」
−−写真撮影の際、あまり笑わないと決めていたのですか

 「いや、そんなことは考えてないです。われわれ2人は受賞しましたけど、陰で受賞されてない方もいらっしゃるので、ちょっと悪いなあと思ってました」

 −−賞金の使途は

 「とりあえずマカオに行こうと。ビジネス(クラス)で」

 −−黒川さんのエッセーには作家生活を支えてきた奥様への、諧謔(かいぎゃく)味を帯びた感謝がよく綴(つづ)られている。それから今回は作品に出てくるオカメインコのマキちゃんがペーソスを与えていると高評価を得たようですが、受賞の一報をどのように分かち合いましたか

 「受賞の第一報をもらってすぐ嫁はんに電話しました。喜んでました。インコはうちで待ってます」

 −−黒川さんにとってギャンブルとは

 「もうね、他に楽しみがないんです。飲む・打つ・買うとありますが、僕の場合は『打つ』に特化してますから。でも昔、若いころにカジノに行ったときのような高揚感はないですね。最近はとりあえず20万、30万くらいは負けてもええかな、と。マカオはゴキブリホイホイみたいなもんですから、他にすることないんで、カジノに閉じ込めて…。男同士って、あまりしゃべりません。何かを介在させて一緒にいるのが多い。マージャン、カジノ、酒…道具なしにしゃべるのは苦手です。人見知りもするし。男ばっかり集まって、しゃべるのは気詰まり」

 −−無頼とは

 「自分ではわからんですねえ。若い頃は色川武大さんにわりにお世話になりまして、無頼の極致みたいな人でしたけど、人に優しかったです。自分も年をとったらこんな風に人に優しくなりたいなという憧れがありました。何をするにしたって遊んでもらってありがとう。大阪の子供って、そうなんですよね。遊んでもらっておおきに、ありがとう。そういう考えがずっと、骨がらみであるような気がします。意識したことはないけど、自分の性格が作品の中に出ているのであれば、それはそれで良かったなと思います」

 −−最後に一言

 「こんなに集まっていただいてありがとうございました。またお会いしましょう」

 《一同、爆笑で拍手》

【直木賞会見】黒川博行さん「遊んでもらってありがとう」+(4/4ページ) - MSN産経ニュース

黒川 博行(くろかわ ひろゆき、1949年3月4日 - )は、日本の小説家・推理作家。愛媛県今治市生まれ。大阪府羽曳野市在住(2014年現在)。京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒業。妻は日本画家の黒川雅子。

大学卒業後、スーパー社員、大阪府立高校の美術教師を経て、1983年、『二度のお別れ』で第1回サントリーミステリー大賞佳作に選ばれる。1984年、同作で小説家デビュー。

2014年、6回目のノミネートで第151回直木三十五賞を受賞。選考委員の伊集院静は「圧倒的な支持だった。忍耐力と小説家の魂を作品以外のところで評価した選者がいた」と語った。

作品リスト

小説

大阪府警シリーズ

大阪府警捜査一課の刑事「黒マメ」コンビ(黒木憲造と亀田淳也)が活躍するシリーズ
二度のお別れ(1984年9月 文藝春秋 / 1987年6月 文春文庫 / 2003年9月 創元推理文庫)
雨に殺せば(1985年6月 文藝春秋 / 1988年5月 文春文庫 / 2003年11月 創元推理文庫)
海の稜線(1987年4月 講談社 / 1990年7月 講談社文庫 / 2004年3月 創元推理文庫)
八号古墳に消えて(1988年9月 文藝春秋 / 2004年1月 創元推理文庫)
切断(1989年2月 新潮社 / 1994年7月 新潮文庫 / 2004年11月 創元推理文庫)
ドアの向こうに(1989年5月 講談社 / 1993年1月 講談社文庫 / 2004年7月 創元推理文庫)
絵が殺した(1990年6月 徳間書店 / 1994年3月 徳間文庫 / 2004年9月 創元推理文庫)
アニーの冷たい朝(1990年11月 講談社 / 1993年10月 講談社文庫 / 2005年1月 創元推理文庫)
てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書(1991年10月 講談社 / 2003年6月 講談社文庫)

疫病神シリーズ

建設コンサルタントの二宮啓之とヤクザの桑原保彦が活躍するシリーズ
疫病神(1997年3月 新潮社 / 2000年1月 新潮文庫)
国境(2001年11月 講談社 / 2003年10月 講談社文庫)
暗礁(2005年10月 幻冬舎 / 2007年10月 幻冬舎文庫【上・下】)
螻蛄(2009年7月 新潮社 / 2012年1月 新潮文庫)
破門(2014年2月 角川書店)

堀内・伊達シリーズ

大阪府警今里署のマル暴担当刑事、堀内信也と伊達誠一が活躍するシリーズ
悪果(2007年9月 角川書店 / 2010年9月 角川文庫)
繚乱(2012年11月 毎日新聞社)

その他
暗闇のセレナーデ(1985年8月 徳間書店 / 1988年11月 徳間文庫 / 2006年3月 創元推理文庫)
キャッツアイころがった(1986年8月 文藝春秋 / 1989年9月 文春文庫 / 2005年6月 創元推理文庫)
大博打(1991年12月 日本経済新聞社 / 1998年3月 新潮文庫)
封印(1992年12月 文藝春秋 / 1996年8月 文春文庫)
迅雷(1995年5月 双葉社 / 1998年5月 双葉文庫 / 2005年5月 文春文庫)
カウント・プラン(1996年11月 文藝春秋 / 2000年4月 文春文庫)
麻雀放蕩記(1997年6月 双葉社 / 2000年6月 双葉文庫)
燻り(1998年9月 講談社 / 2002年4月 講談社文庫)
文福茶釜(1999年5月 / 2002年5月 文春文庫)
左手首(2002年3月 新潮社 / 2005年1月 新潮文庫)
蒼煌(2004年11月 文藝春秋 / 2007年11月 文春文庫)
蜘蛛の糸(2008年6月 光文社 / 2011年2月 光文社文庫)
煙霞(2009年1月 文藝春秋 / 2011年7月 文春文庫)
落英(2012年3月 幻冬舎)
離れ折紙(2013年8月 文藝春秋)

アンソロジー

「」内が黒川博行の作品
孤愁(1994年12月 角川書店)「黒い白髪」
現場不在証明(1995年8月 角川文庫)「飛び降りた男」
賭博師たち(1995年7月 角川書店 / 1997年11月 角川文庫)「いたまえあなごすし」
輝きの一瞬(1999年1月 講談社文庫)「燻り」
マイ・ベスト・ミステリー2(2007年8月 文春文庫)「カウント・プラン」

エッセイ
よめはんの人類学(1998年7月 ブレーンセンター)
ぎゃんぶる考現学 麻雀放蕩記(2003年10月 徳間書店)
大阪ばかぼんど ハードボイルド作家のぐうたら日記(2008年3月 幻冬舎 / 2011年4月 幻冬舎文庫)
大阪ばかぼんど 夫婦萬歳(2008年10月 幻冬舎文庫)

黒川博行 - Wikipedia船越英一郎主演のテレビ東京系『水曜ミステリー9』の人気シリーズ「刑事吉永誠一・涙の事件簿」の原作者でもある。
ラベル:直木賞
posted by りょうまま at 13:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 黒川博行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする