2018年06月06日

椰月美智子「つながりの蔵」「明日の食卓」「恋愛小説」「その先の その青の」


2018.6.6水〜

CIMG1884.JPG  64・つながりの蔵(2018.4)

2017.4.30(月)

81.「明日の食卓」2016.10

http://shoten.kadokawa.co.jp/sp/ashitanoshokutaku/

これは試練なのだと思う。
乗り越えてこそ本当の家族になっていくのだ。
静岡在住・専業主婦の石橋あすみ36歳、夫・太一は東京に勤務するサラリーマン、息子・優8歳。
神奈川在住・フリーライターの石橋留美子43歳、夫・豊はフリーカメラマン、息子・悠宇8歳。
大阪在住・シングルマザーの石橋加奈30歳、離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日、息子・勇8歳。
それぞれが息子のユウを育てながら忙しい日々を送っていた。
辛いことも多いけど、幸せな家庭のはずだった……。
しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。
無意識に子どもに向いてしまう苛立ちと怒り。果たして3つの石橋家の行き着く果ては……。
(初出:「小説 野性時代」2015年11月号〜2016年7月号)

書評『明日の食卓』―――吉田伸子
当たり≠ェない子育てだからこそ、明日を信じる大切さ
 幸福な家庭はどれも似ているが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である、と言ったのはトルストイだが、これ、子育ても同様だと私は思っている。子育てに手を焼いている親(とりわけ母親)にとって、その理由は千差万別であり、それこそ子どもの数だけある、といっても過言ではない。ものすごく乱暴に言ってしまうのだが、うまくいかないからこそ、の子育てだ、ぐらいの気持が、私の中には、ある。子育てがうまくいっていない親の僻みだ、開き直りだ、と言われてもいいよ。でも、僻みでもなんでもいいから、そんな風に思うと、ちょっと気が楽になりませんか? 世の子育て真っ最中のみなさま、私には十八歳になる息子がいるのですが、そして十八歳になっても子育てかよ!というツッコミがあるかもしれませんが、マジ、うまくいかない日々ですわっ!(すみません、愚痴りました)

 本書に登場するのは、文字どおり、子育て真っ最中の母たちである。専業主婦の石橋あすみ、フリーライターの石橋留美子、シングルマザーの石橋加奈。彼女たちの息子は、それぞれ、優、悠宇、勇。苗字も名前の読みも年齢も同じ、八歳のイシバシユウなのに、母子の日々は三者三様で、暮らしの背景も異なっている。あすみはメーカー勤務の夫と、夫の実家の敷地に建てた一戸建てに暮らしている。留美子は、フリーカメラマンの夫とマンション暮らし。悠宇の二つ下には巧巳もいる。加奈はパートをかけもちして、早朝から夜まで働きづめに働いている。

 優は、聞き分けの良い手のかからないいい子≠ナ、スイミングと絵画教室に通っている。あすみは私立中学受験を考え、学校探しを始めているところだ。悠宇は、やんちゃ仕放題、留美子の言うことを聞くどころか、弟と一緒になって騒ぎまくり。勇は、根を詰めて働く母親を気遣う優しい子だ。

 三人のユウと三人の母、それぞれの日々が実にリアルなのだが、なかでも歳の近い兄弟を育てている留美子の日々が、男児の母にとってはあるある*檮レ。これは、実際に小学生男児二人の母である椰月さんの実感も、多分に込められているからだろう(留美子の仕事をも含めて)。仕事でテンパっている時に限って、やらかしてくれる悠宇と巧巳に、読んでいて思わずこちらが雷を落としたくなるほどとしたくなるほど。

 子どもだけではない。あすみの夫は優しいけれど、何か問題があるとあすみに押し付けてしまう。留美子の夫は、一家の経済的な基盤でもあった撮影の仕事を打ち切られてしまったことで、やさぐれていく。加奈は加奈で、夫こそいないものの、仕事を辞めて実家に戻った弟からお金の無心をされる。

 兄弟の子育てと仕事との両立で、文字どおりキリキリ舞いの留美子、常に経済的な問題を抱える加奈と比べると、暮らしにも息子にも恵まれていると思われたあすみだったが、あることをきっかけに、その幸せが根底から揺らいでいくことに……。

 本書の冒頭に、「ユウ」という子どもが出てくる。この「ユウ」とは、優なのか、悠宇なのか、勇なのか、それとも……。この冒頭があるために、読み進めるにつれじわじわと不穏なものが胸の中に積み重ねられていく。「ユウ」が誰なのかは、実際に本書を読まれたい。このあたりの椰月さんの筆さばきは、実に鮮やかである。

 人生には、ぼこぼこと落とし穴がある。なかでも子育ての落とし穴は、一見穴≠ノは見えないものもあったりするので、知らずしらずその穴に落ちてしまうことがある。その穴が思いがけなく深かったりすることも。人生にも子育てにも、正解や当たり≠ヘないのだ。あるのは明日≠セ。今日は辛くても、明日は。今日は陽が差さなくても、明日は。大事なのは、その明日を信じること。強、強く、信じることなのだ、と本書は教えてくれている。
よしだ・のぶこ 書評家
書評 『明日の食卓』

★★★★

2015.6.22(月)恋愛小説(2010.5)

P67〜抜粋^^・・・美緒は感傷的な女だ。だから「夏の終わり」にはたと気づいた時点で意味もなく涙がつーっと頬を伝わったりする。・・その日の夕焼けは昨日までとはあきらかに違っていた。今日のそれはすでに冬に向かう秋の夕焼けとなっていた。・・健太郎は、そんなこと何の意味もないではないかと思っていた。健太郎は美緒・・情緒豊かななのか情緒不安定なのかわからない恋人をいつも不思議な気持ちで想う・・サスケも季節の変わり目に涙を流すというオセンチな感情を理解できるほど軟弱ではなかった・・

p117〜・・「。。美緒はいつだって自分にだけ都合のいい女だったし、恋愛に関しては特に自分本位、自分中心、自分勝手だった。そしてどういうわけかそれで正しいと思っていた・・」・・最強・・若いころってみなこんなもの・・だったかなあ


★★★

作家の読書道 第102回:椰月美智子さん - 作家の読書道

1970年神奈川県生まれ。2002年『十二歳』で第42回講談社児童文学賞を受賞しデビュー。『しずかな日々』で07年に第45回野間児童文芸賞、08年に第23回坪田譲治文学賞を受賞。他の著書に『恋愛小説』『体育座りで、空を見上げて』『どんまいっ!』『みきわめ検定』『枝付き干し蒲萄とワイングラス』『かっこうの親 もずの子ども』『るり姉』『ダリアの笑顔』『シロ シロクビハダ』『フリン』『坂道の向こう』などがある

『その青の、その先の、』が素晴らしすぎる!(第1回) - 幻冬舎plus


2014.3.22〜2014.3.24

椰月美智子「その先の その青の」2013.8

ばかみたいに幸福な時間。それは、ほんの少しさみしい。
恋、友情、初体験……。人生のきらめきすべてが詰まっている、最高の仲間と過ごした最高の三年間。

「こういうの、大人が見たらばかみたいだって言うのだろうか。高校生のおままごとだって言うのだろうか」
まひる……落語家を目指す大好きな彼氏が出来て、ファーストキスをしたばかり。
クロノ……ミュージシャンを目指してバンド活動をしている。誰もが振り返る美少女。
睦実……四人の中で唯一“初体験"を済ませていて、生徒会長に片思い中。よく泣く。
夏海……弓道部で活動していて、友だち想い。高校時代は化粧をしないと決めている。
悩みも夢も違うけれど、時に応援し合い、なぐさめ合い、確かに繋がっている四人のクラスメイト。
だがある日、まひるを思いがけない試練が襲い……。
光り輝く宝物のような時間は大切にしないと、シャボン玉のように消えてしまう。
『るり姉』が話題の著者が、最高の仲間と過ごした高校生活を鮮やかに描写した、感動の書き下し青春小説

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posted by りょうまま at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 椰月 美智子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする