コピーライター羽仁男27才、睡眠薬自殺に失敗。会社をやめ、失敗はこりごりだけど死にたい気持ちは変わらないので「命売ります」と新聞広告をだした。訪れる依頼人たちの要求に淡々と応じていく。結果、依頼人は救われ、羽仁男は生き続け、おまけに金持ちになる。・・・「人生は無意味だ」と言いながら、飄々と生き続けていく。羽仁男はサラリーマンとして働いている時のほうが死んでいた。。と思う「物事をあんまり複雑に考えるのはよしなさい、いつでも死ぬ気でいると、人生は単純浅薄です(p159)」と依頼人に話してみたり・・・・「僕は君になんか命を売った覚えはないよ、僕の命はぼくのものだよ」と共に死のうという女性に言うようにもなる・・・緊張感をもって読んでたのに・・最後の羽仁男の有様は・・「こうなるのか」と膝から崩れ落ちる感じで、苦笑とともにおしまい。「死ぬ」という単語が何度も繰り返される割に、じめっとしてた気分にならないなあと思っていたけど最後まで読んで納得。羽仁男がその後どうなるかはわからないけれど、「死にたくない」という気持ちに変化していく過程を面白く読んだ。文庫本の帯は「こんな面白い作品、ほっといていいわけない」。
★★★
コピーライター羽仁男27才、睡眠薬自殺に失敗したのち、会社をやめ「命売ります」と新聞広告をだした。
p11. 「自殺をしそこなった羽仁男の前にはなんだかからっぽな素晴らしい世界がひらけた」
(からっぽ=素晴らしい ふむ・・)
p12 「それにしても、新しい人生というのはなんとがらんとしているのだろう、まるで家具のない部屋のように」
1.やってきたのは「舌をシューシュー言わせる」老人。外をほっつき歩く3度目の妻岸るり子23才を殺してほしいというもの。
p47 「彼は一度死んだ人間だった。だからこの世になんの責任もなければ執着もないはずだった。彼にとって、世界とは、ゴキブリの活字で埋まった新聞紙に過ぎなかった。
P54 2. 「ひっつめ髪の中年の一向にぱっとしない女が立っていた」 図書館勤務。
P73「50万円で薬の実験うけあう。但し男性」
40万円で命をうり、薬を飲んだ羽仁男は、もうろうとした状態でピストルで頭を打ちぬこうとした瞬間、命を買った図書館勤めの女がピストルをうばい自分の頭を打ちぬいて、男の身代わりになって死んだ。なにもピストルを奪うだけでよかったのに、なぜ自殺したのか。それは図書館女が羽仁男を愛し始めてしたから。。。。(全く理解できない・・本気で作者がそう思う女がいると考えているとしたら、女性を馬鹿にしてる、下等なものとみなしているのかなと思う)
p76「世界が意味があるものに変われば、死んでも悔いないという気持ちと、世界が無意味だから死んでもかまわないという気持ちとはどこで折れ合うのだろうか・」