2019年08月26日

乃南アサ「六月の雪」「地の果てから」

2019.8.26 (月)~

108..「六月の雪」(2018年)  久々の乃南さん・・あっという間にストーリーに引き込まれていく・・台湾は日本の植民地だった

20代は声優になるために努力してきた未來。30代になり夢はあきらめ、派遣社員として働き始める。契約満了の日の夕食の席で、同居している祖母から「16歳まで台湾に住んでいたのよ。帰りたいわ・・」を話され驚く・・写真を探そうとした祖母は倒れてしまう
祖母は認知症になりつつある
隣には娘の真純が住んでいる、真純は3度の結婚離婚を繰り返していた

未來は台湾へ・・3人の女性と林先生に助けられながら、1週間様々な体験をし話を聞く。決して楽しいばかりの旅ではなかったけど未來には転機となる経験になった・・
祖母は認知症と診断され、いずれ未來のこともわからなくなるだろう。しかし未來は、祖母の後押しに勇気づけられ自分の人生を歩き始める

人生は選択の連続。転機となる時期もいくどとなく訪れる。どの道を行くのか決めるのは自分自身。環境や時代、家族関係などままならないことはたくさんあるけれど、皆ふんばって精いっぱい自分の道を歩いていく

★★★

震災がきっかけ 台湾に6年で40数回訪れて生まれた物語
著者の6年にわたる台湾への思いが結実した、傑作小説の誕生だ。

「2011年、仙台で東日本大震災に被災しました。その後、台湾の方々が200億円もの義援金を送ってくれたニュースに触れたことをきっかけに、台湾への関心が高まったんです」

日台には国交がないため、国として正式な御礼もできない。「義憤に駆られて」、民間交流のための社団法人を知人と立ち上げ、翌12年から年に5、6回、6年間で計40数回台湾を訪れて人々と交流、歴史や文化を深く知る旅を続けた。

「歴史資料本『ビジュアル年表 台湾統治五十年』(16年)を作るにあたり国立台湾歴史博物館の方々と縁ができ、博物館のある台南に行く機会が増えました。そしてある時、台南市内で運命的な出会いをしたんです」

日本統治時代に建てられた日本家屋から台湾人のおばあさんが飛び出してきて、乃南さんにむかって泣き叫んだというのだ。通訳によると、「もし今ここに小説家が現れたら、私の物語を書いて欲しい」と言っていたのだという。

「それを聞いて鳥肌が立ちました。そして後日、落ち着いて話を伺い、彼女の口から、重く複雑で壮絶な人生の物語を聞いたんです」

乃南さんは震災以降、漠然と「どこかで誰かと繋がっている不思議さ」について思いを馳せてきた。また同時に、この頃同年代からよく聞くようになった親子の確執や、家や家庭の問題に関心を持ってきた。

「日本人と台湾人は、生活習慣も感性も、似ているようで全然似ていない。でも彼女の話を聞いて、同じように家と家、結婚、暴力といった問題で悩んでいるんだ、私たちは通じるところもあるんだと思ったんです」

本作品は、声高に日台の歴史を語るものではない。主人公の未來(みらい)は台湾のことをほとんど知らず、ただ祖母の住んでいた家を探すために台南までやってきた。祖母の目となり耳となって旅する彼女を通じて、読者もまた、ごく自然に台湾の文化や、過去や現在を知る。そして台湾に住んでいるのもやはり、“人"であることを知るのだ。

「未來の旅はたったの7日間。後から振り返れば夢幻のようで、人生も街も歴史も、すべては結局、過去になっていく。でも一瞬の出会いが、人生を大きく左右することもあるはずです」

タイトルにもなっている「六月の雪」。台南にあるその美しい風景に出会ったのち、未來はどんな新しい人生を歩み始めるのだろうか。
評者:「週刊文春」編集部
(週刊文春 2018年06月14日号掲載)

祖母のふるさと、台南への旅が私の人生を変える 7日間のひとり旅が生んだ人々との絆がもたらした奇跡とは。 声優への夢破れ、祖母と二人で生活する杉山未来。入院した祖母を元気づけようと、未来は祖母が生まれた台湾の古都、台南を訪れることを決意する。 祖母の人生をたどる台湾の旅。そのなかで未来は、戦後に台湾の人々を襲った悲劇と植民地だった台湾に別れを告げた日本人の涙を知る。 そしてついにたどり着いた祖母の生家で、未来は人生が変わる奇跡のような体験をするのだった。 「わたしは誰からも愛されない。誰も愛さないなんて生き方はしたくない」 いつもどんなときも夢は突然始まる。台湾の旅情もあふれる最高の感動作。 六月の雪 単行本 – 2018/5/31

2017.10.20

159・「地の果てから」(2010.11)

凍てつくオホーツク海に突き出し、人も寄せ付けぬ原生林に覆われた極寒の地・知床。アイヌ語で「地のはて」と呼ばれたこの地に最後の夢を託し、追われるようにやってきた開拓民の少女。物心ついたときにはここで暮らしていたとわは、たくましく生きる。今日から明日へ、ただ生き抜くことがすべてだった。中央公論文芸賞受賞。(講談社文庫)


北海道・知床で生きた女性の生涯を丹念に描いた、著者の最高傑作!
中央公論文芸賞受賞作!

凍てつくオホーツク海に突き出し、人も寄せ付けぬ原生林に覆われた極寒の地・知床。アイヌ語で「地のはて」と呼ばれたこの地に最後の夢を託し、追われるようにやってきた開拓民の少女。物心ついたときにはここで暮らしていたとわは、たくましく生きる。今日から明日へ、ただ生き抜くことがすべてだった

小樽での子守奉公で初めて都会の暮らしに触れたとわは知床に戻り、森のなかでアイヌの青年と偶然再会する。しかし彼への恋心は胸に秘めたまま嫁ぎ、母となる。やがて戦争の足音が……。まだ遠くない時代に、厳しくも美しい自然とととも生きてきた人の営みを鮮烈に描き出した感動巨編。中央公論文芸賞受賞。(講談社文庫)


働き、嫁ぎ、子を産み、育て上げた。
もう夢など見ない――自分に言い聞かせることで、歯を食いしばるように耐えてきた。
大正から昭和をひたすら生き抜いた女性の一代記。
湧き上がる感動! 現代人に勇気を与える傑作!

小樽での子守奉公で初めて都会の暮らしに触れたとわは知床に戻り、森のなかでアイヌの青年と偶然再会する。しかし彼への恋心は胸に秘めたまま嫁ぎ、母となる。やがて戦争の足音が……。まだ遠くない時代に、厳しくも美しい自然とともに生きてきた人の営みを鮮烈に描き出した感動巨編。中央公論文芸賞受賞。
posted by りょうまま at 14:29| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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