2020年08月29日

「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」  .彩瀬まる「不在」「やがて海へと届く」

2020.8.28〜

79.「まだ温かい鍋を抱いておやすみCIMG3468.JPG

@「ひとさじの羽ばたき」(〜p42) のじま沙彩は小中高大と順調に歩み、一流企業に就職したが、会社になじめず半年で退社、ひきこもり生活を1年続けた後、叔父のレストランでバイトをしている。週一くらいでやってくる清水さんは百貨店の化粧品ショップで働いている。清水さんがくると大きな鳥の羽にかかえこまれたような幸福感が店の中に漂う・・清水さんがそんな雰囲気をまとう女性になったのは理由があった・・p28「嫌われることが一番こわかったけれど、今は自分のことを自分で決められなくなることのほうがずっと怖い」

※ 理由や背景は違うけれど、周囲とうまく交われないことに傷つき悩む二人の女性が、一歩さきへ歩みだそうとする物語

A「かなしい食べ物」 詳細は不明だがつらいことの象徴のような「枝豆パン」を作ってくれとねだる灯。透は一度は嫌な気持ちになったものの、灯がリクエストするたびに黙って作り続ける。「あなたほどまじめに誰かの話を聞く人に会ったことがない」と灯はいう。2人はゆるゆると同居生活を続けている。灯はその生活で少しづつ癒されているように見える

Bミックスミックスピザ 夫の晴仁さんが体調をくずし休職。妻の小百合さんは、自分が家計を支えなければばらないなど様々考える。そしてある日曜日、晴仁さんをピクニックに誘い「二人で歩き続けたい・・」という。耳元には「なかったことになると思うなよ」という部下の弦巻くんの声もかんじながら。 ※。泣きたくなる。。小百合さんの背中を「頑張ろうね」とポンポンしたい

C ポタージュスープの海を越えて p130「家族には手間と時間をかけた料理を出して当然、って平成を飛び越えて昭和じゃない?」朱里

子育て中の保育士 珠理とスポーツ販売店OL 素子 はたまった疲れを癒すべく、ランチつきで日帰り温泉にやってきた。食事にまつわる母親とのの思い出の話

Dシュークリームタワーで待ち合わせ ポテトサラダを盛りつけようと思ったのだ・・料理家の夜子は、元恋人の陶芸家雄牙に、器の注文の電話をする。日曜日の夕方、家族とくつろいでいる雄牙に。

4歳の息子将太くんをなくした幸 幸とは、世界を共に面白がっていた仲間、結婚して子供ができてすっかり疎遠になってしまっていた。夜子は「家族向け、イコールステップアップってなんだ・・」

p166〜「食べるってすごいね、すごくてこわいね、生きたくなっちゃう・・」子を失った親というのは生きるとか生きないとかそんな根本的なところまでゆらぐものなんだろうか。
 
p171「  雄牙てほんと、陶芸の腕以外はクズだよね、男尊女卑だしことなかれ主義だし豪快っぽく見せようとするくせに執念深いし。・・」自尊心がある男と勘違い男を見間違えた「子供って親からすれば体の外側にある急所なんだよ、内臓みたいなもん・・」「家族は異世界だよ、社会とは違う、ちょっとずついろんなものがずれる 磁場が狂う   幸はオットとの離婚を決める。

p182 毎日毎日生きたいと消えたいの協会をさまよいながら箸を使う友人の口を食の誘惑でこじ開ける・・これであなたは明日も死ねない・・多少の罪悪では折れないくらい、貪欲に、傲慢になってほしかった。生きると決めた以上、この人はこれからも苦しくて痛みを伴う日々を淡々と歩き続けるのだ。強いほうがいい、濁っていたほうがいい。・・私はたぶん今後も満ち足りた人を祝福する一皿は作らないのだろう。そういう食卓を心の底では信じていない 苦しい時間を耐えていく人の食卓に豊かさを作りたい。※。号泣、作家さんに泣かされたぜ 

E大きな鍋の家 和食店で板前をしている俺、大学受験を控えた娘がいる、娘が幼いとき離婚し、保育園やベビーシッターさん等助けてもらいながら二人で生きてきた。専門学校時代からの友人、万田はファミレスの商品開発の仕事をしている、今は入院中。万田が亡くなるまでの期間の物語。万田は俺に「お前は無神経で人の心がわからない(離婚や娘との軋轢の原因)。。でもそういう人も必要なんだよ」という会話部分が印象に残る・・最後ほろりと泣けた。。

読み終えた感想。。@ABあたりは、傷ついた心は丁寧でまじめな生活をすることで癒しされるよ・・という物語かと思っていたが、後半、だんだんきつくなってきて、Cではぽろぽろと泣き、Dでは号泣、Eでは心当たりあるなとか怒りとかを感じ、最後はほろりとなる、涙は堪えよう・・といったところ

Eで・・俺のお母さんが77歳で体を壊して入院したとき、夫の思いやりのなさ横暴さに苦しんだ、親戚付き合いがいやだったとかの下りがでてきたが。。私も子供のころは田舎の親戚づきあいで楽しいこともあるけど女性ばかり食事の支度やらで忙しくしているのに違和感を感じ、成長してからは手伝わされるのが面倒に思い、20歳のころからは、大っ嫌いになった、もちろん公言したし足も遠のいた。。この77歳のおかあさんもそう思っていたのかと驚いた、なぜなら自分の母親たちから面倒だとかの愚痴を聞いたことはなかったから。。私は田舎の親戚付き合いや風習のようなものを嫌うことが我儘だと思ったし責められもしたけど、なーーに、私たちの上の世代でも嫌だったと思う人はいたのかと目をぱちくりさせた・・いやだったらいやってもっと早く言ってよ・・と本を読みながら突っ込んでいた。。ちなみに「俺」はそんな話聞きたくない今さら愚痴を言う母親は見たくない愚痴は墓場まで持っていけというスタンスだった。最低だけどそんなもんよね、うちの夫もたぶんそうだ。


2019.2.12 火

20.不在(2018.6)

漫画家のアスカ。子供のころ、離婚し疎遠になっていた父が亡くなり、実家だった屋敷を相続する。
両親に愛されていなかったという気持ちをもち続けている・・

https://www.kadokawa.co.jp/product/321606000527/
愛による呪縛と、愛に囚われない生き方とを探る。野心的長篇小説!

長らく疎遠だった父が、死んだ。「明日香を除く親族は屋敷に立ち入らないこと」。不可解な遺言に、娘の明日香は戸惑いを覚えたが、医師であった父が最期まで守っていた洋館を、兄に代わり受け継ぐことを決めた。25年ぶりに足を踏み入れた錦野医院には、自分の知らない父の痕跡が鏤められていた。恋人の冬馬と共に家財道具の処分を始めた明日香だったが、整理が進むに連れ、漫画家の仕事がぎくしゃくし始め、さらに俳優である冬馬との間にもすれ違いが生じるようになる。次々現れる奇妙な遺物に翻弄される明日香の目の前に、父と自分の娘と暮らしていたという女・妃美子が現れて――。愛情のなくなった家族や恋人、その次に訪れる関係性とは。気鋭の著者が、愛による呪縛と、愛に囚われない生き方とを探る。喪失と再生、野心的長篇小説!




2016.9.10(日)

87.彩瀬まる「やがて海へと届く」(2016.2)

彩瀬 まる(あやせ まる、女性、1986年 - )は、日本の小説家。
千葉県千葉市生まれ。上智大学文学部卒業。小売会社勤務を経て、2010年「花に眩む」で第9回女による女のためのR-18文学賞読者賞を受賞 彩瀬まる - Wikipedia
posted by りょうまま at 10:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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