2018年05月19日

朝倉かすみ「満潮」「たそがれどきにみつけたもの」「地図とスイッチ」「乙女の家」「遊佐家の4週間」「てらさふ」


2018.5.19〜 54・「満潮」を再読
2017.1.15

13.満潮

眉子の母良枝・・・自分のしあわせを守るためならなんでもする女の目。一途に思い込み、思いつめ、なりふりかまわぬ行動に出る女。口では聞こえのいいことを言うが、結局自分の都合しか考えない女・・

おばトモエからみた眉子・・妙な魅力がある・・絡めとられるような。不思議に気持ちがよくなってこの子のためになにかしてあげたくなる。

眉子・・p219「わたしってね、わたしのままでいるとき、どうしたらいいかわからなくなるの。いきいきしないの。こういうひとになりたいって決めて夢中のときはいきいきするんだけど、でも終わるとガランとしちゃうの

amazonより
人を喜ばせたい美女と自意識過剰な男。危険なボーイ・ミーツ・ガール!

人に迎合し、喜ばせることが生きがいの眉子。自意識過剰な大学生茶谷は眉子に一目惚れをし、彼女の夫に取り入り、眉子に近付く。眉子。茶谷。眉子の夫。三人の関係は? ロングセラー『田村はまだか』著者の放つ恋愛サスペンス!
出版社からのコメント
震撼のラスト! ロングセラー「田村はまだか」著者が放つ恋愛サスペンス!


2016/07/30〜
73.たそがれどきにみつけたもの(2016.6)

「オールニューワールド」智子53歳、コンビニでバイト中、一女をもうけた大人の女性・・ではなく「ただのおばちゃん」

2012年6月号掲載 著者との60分 『とうへんぼくで、ばかったれ』の朝倉かすみさん
作家の読書道 第96回:朝倉かすみさん - 作家の読書道

2016.6.28(火)

P177・・オレはこれから何十年も職場という海を泳がなければならないんだ・・遠泳みたいなものだ。遠泳は孤独だ、自分のペースをつかみ、周囲に気を配りながら。。。「地図とスイッチ」


2016.6.15(水)

58.地図とスイッチ(2014年)
始め。。マトリョーシカの形をした計量カップ。若い女性がカウンターにもってきた。斜め掛けしたショルダーバッグのべろを開ける。財布を探しながら「プレゼントで」と告げた。生まれつきなのか、後年獲得したものなのかアニメ声である・・・・

2015/08/28(金)

91.「乙女の家」2015.2



2015.1.2

3.「遊佐家の4週間」(2014.7)

たった四週間の同居生活がもたらしたものは――?
美しく貧しかった羽衣子、不器量で裕福だったみえ子。
正反対の二人は、お互いに欠けているものを補い合って生きてきた。
だが、羽衣子は平凡だが温かい家庭を手に入れる。
穏やかな日々は独身のみえ子が転がりこんできたことから違った面を見せ始める……。

美しく貧しかった羽衣子、不器量で裕福だったみえ子。正反対の二人は、お互いに欠けているものを補い合って生きてきた。だが、羽衣子は平凡だが温かい家庭を手に入れる。穏やかな日々は独身のみえ子が転がりこんできたことから違った面を見せ始める…。家族のあり方を問う、傑作長編小説。

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2014.12.8(月)〜12(金)

朝倉かすみ「てらさふ」(2014.2.10)

自分がまがいものであることは承知の上で、スーパースターになって2010年代を疾走することを夢想する堂上弥子(どうのうえやこ)。耳の中で鳴る音に連れられ、どこかに行きたいというきもちがつねにうねっていた鈴木笑顔瑠(すずきにこる=ニコ)
北海道の小さな町で運命的に出会ったふたりの中学生は、それぞれ「ここではないどこか」に行くため、一緒に「仕事」で有名になることを決める。その方法は弥子が背後に回り、ニコが前面に出るというもの。最初の仕事は読書感想文コンクールでの入選。弥子が書いてニコの名前で応募した感想文は見事文部科学大臣奨励賞を受賞、授賞式にはニコが出席した。
ふたつめの仕事は、史上最年少で芥川賞を受賞すること。ニコの曽祖父の遺品の中にあった小説を弥子がアレンジして応募した小説「あかるいよなか」は、芥川賞の登竜門となる文芸誌の新人賞を受賞する。作品はその後順当に芥川賞にノミネート、そしてついに受賞の時を迎えるが……それは「てらさふ」仕事を続けてきた、ふたりの終わりのはじまりだった――。
てらさふ――とは「自慢する」「みせびらかす」こと。「てらさふ」弥子とニコがたどり着いた場所は? 女の子の夢と自意識を描きつくした、朝倉かすみの野心作。

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女の子が他者になりきる過程を描く『てらさふ』 (朝倉かすみ 著)文朝倉 かすみKasumi Asakura|作家2014.03.05 07:30

たとえば、ウィキペディア風に書くとこうなる。

十村十枝子(とむらとえこ)は日本の芸術家。女優を振り出しに演出家、グラフィックデザイナー、小説家、写真家と、それぞれの分野で才能を発揮、「羽化しつづける蝶」にたとえられた。小説家としては処女作で芥川賞を受賞。グラフィックデザイナーとしても国際的な賞を受け、セルフポートレートは英字紙で絶賛された。

加えて、十村十枝子はたいへんな美人である。スタイルも抜群だ。先に書いた業績は20代で残したものだというから恐れ入る。昭和40年代半ばに突如として現れた、とてつもない才色兼備だ。

残念ながら実在はしない。十村十枝子は『人間昆虫記』(手塚治虫著・秋田文庫)のヒロインである。もうひとつ残念なのは、彼女の業績がオリジナルではなく、模倣によるものだということだ。

十村十枝子は、劇団で役者の勉強をしているうちに「相手になりきる術」をおぼえた。しかも、「みなりだけではなく心や――能力まで!」なりきることができた。

模倣だけでなく、盗作もする。十村十枝子は目的のためなら手段を選ばない。彼女は平気でひとを踏み台にする。ばかりか、殺したりもするのだが、よく分からないのは、そもそもの目的である。彼女は、脊髄反射的に(ほとんど無邪気に)模倣したり盗んだりしているように見える。

「フクロウそっくりに化けた(フクロウの顔を盗んだ)蝶」のように、「生まれつき」「似せることで身を守る」術を「知っている」という科白を信じれば、彼女の目的は身を守ること、になる。つまり、生きのびるため。となると、それはもはや本能だ。なるほど、詰(なじ)られてもキョトンとしているわけだ。

しかし、十村十枝子が「生まれながらにその中で最も安楽に生きのびる方法を知っていただけ」の「つまらない平凡な女」だというのはどうか。愛する十村十枝子にすべてを奪われ、挙句捨てられた男の言い分ではあるのだが、にしてもどうか。


模倣と盗みの裏側で

だって、彼女は、みかけだけでなく、心や能力ごと相手になりきってしまうのだ。それはものすごい才能のはずだ。模倣する作品(なりきる相手)を選ぶ眼力も相当なものだ、というのが、初めて『人間昆虫記』を読んだときの感想である。20年以上も前になる。

繰り返し読んだ『人間昆虫記』のなかで、わたしがもっとも面白かったのは、十村十枝子がひとの作品を模倣したり盗んだりして、まんまと成功していくようすだった。どうかばれませんように、と願う反面、ばれてしまえばいいのに、と思ったり、世間をあざむいていることに痛みを感じる裏側で、世の中なんてちょろいものよね、と鼻で笑いたくなったりした。

だが、彼女が成功に至る(他者になりきる)過程、分けても具体的な方法は、さのみ厚く描かれていず、わたしは、いつも、そのあたりをもっとくわしく読みたい、と思っていた。できれば、いつか、書いてみたい、と。

そのときがきたら、十村十枝子の正体を「つまらない平凡な女」にはしたくない、と考えた。実際はそうであっても、本人の意識は「特別な人間」であるようにしたい。いやいや、でも、やっぱり本能で行動しちゃうっていうのも捨てがたいんだよなあ――。

ひそかな愉しみごととしてあれこれ考えていた話を、編集者に言ってみたら、書かせてもらえることになった。

連載開始にあたり、改めて読み返したら、実家の自室で眠る十村十枝子のすがたが、強く心に残った。レコード、オルゴール、スカーフ、パンタロン、手袋、ネグリジェ、リボン、人形、コップ、造花、クジャクの羽根、カン切り……。まる1ページを使って、彼女の部屋にあるものが描き込まれていた。

地方都市に住む女の子のあこがれが手当たり次第に集められた部屋だと感じた。わたしにもそのような部屋があった。胸の奥に、きっと、あった。

そんな秘密の部屋で女の子は夢をみる。欲望を育て、自意識を太らせる。やがて、しわくちゃのちいさな羽根を大きく広げられる場所を探し、ついに行動しはじめる、とイメージがまとまった。同じころ、見せびらかす、自慢するという意味の上代語「てらさふ」を知り、おおよその筋ができた。

ふたりの女の子がユニットを組み、まんまと成功する話である。彼女たちの業績はふたつきりだから、十村十枝子には及ばないけれど、「過程」や「具体的な方法」を気の済むまで書いたので、厚い本になった。

掲載本の話 2014年3月号

女の子が他者になりきる過程を描く 『てらさふ』 (朝倉かすみ 著)|自著を語る|本の話WEB

作家の読者道「朝倉かすみ」
posted by りょうまま at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝倉かすみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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