2018年11月24日

よしもとばなな「スナックちどり」「おとなになるってどんなこと」「花のベッドで昼ねして」

2018.11.24

121 スナックちどり 2013

それは人生のエアポケットのような、不思議な5日間だった――。40歳を目前にして離婚した「私」は、幼なじみで従妹のちどりと偶然同時期にヨーロッパに滞在し、一緒にイギリスの西端の田舎町・ペンザンスに小旅行に出かけることになった。ちどりもまた、心に空洞を抱えていた。幼い頃に両親が離婚した後、親代わりに育ててくれた祖父母を相次いで亡くし、ひとりぼっちになってしまったのだ。さびれた海辺の町で、二人は昔話にふけり、互いの人生を振り返る。とりわけ思い出されるのは、ちどりの祖父母が経営していた、「スナックみどり」の光景だった。常連たちがまるで家族のように寛いだ時間を過ごし、またそれぞれの仕事に帰っていく。そこにはささやかだけれど、しっかりとした幸福感が満ちていた。そんな思い出を確かめ合いながら、二人は少しづつ寂しさを埋めていく。そして3日目の夜、二人の間にある「事件」が起きる……。
限りなく繊細な表現で、人が人に寄り添うとはどのような事かを問いかける傑作小説。あなたもきっと「居場所」が見つかります。

――今回の作品は、イギリス西端のペンザンスという街が舞台です。海辺の人気(ひとけ)のない街の雰囲気が、この小説の静謐で、心にじんわりしみ込んでくるような味わいとマッチしています。どういうきっかけで選ばれたのでしょうか?
よしもと 実は別の小説の取材でイギリスに行った時、目的地に行く途中で偶然立ち寄っただけなんです。特別な観光地というわけでもなく、すべてが中途半端な場所。でも、街全体に幽霊が出そうな妖気が漂っている。ちょうど、デヴィッド・リンチ監督のTVドラマに出てくる、ツインピークスみたいな感じでしょうか。これはもう、ここを舞台に1本書くしかないな、と思ったんです。
――主人公の「さっちゃん」は、40歳を目前にして離婚したばかり。いとこで幼なじみのちどりと、そのペンザンスを旅した五日間が描かれます。
よしもと 「さっちゃん」は、若いころはちょっと遊んだりしたかもしれないけれど、就職したころにはバブルもとっくに終わった不況期で、それでも頑張って堅実に生きてきた。それが、人生半ばも過ぎて子どももいないのに離婚、しかも仕事まで失ってしまった。もう人生をやり直すことはできないんじゃないか、と挫折感を味わっているわけです。
 でも、人間は誰しも自分で思っているほど一貫性のある人生を送っているわけじゃないと思うんです。いったんレールから外れたからおしまい、と思う必要はなくて、ひと休みしてまた始めればいい、とどこかで伝えたかったのかもしれません。
――片やちどりも、幼い頃に両親が離婚した後、親代わりに育ててくれた祖父母を相次いで亡くし、ひとりぼっちになってしまったばかり。淋しさを抱える2人は、旅の途中である特別な経験をします。
よしもと やっぱり土地のもつ力だと思うんですよ。ヘンなところに行くと、ヘンな体験をすることが多い、というのは私自身の実感でもあります。でも、それはけっして悪いことではなくて、そこを出た後は何事もなかったようにリセットされる。

――それにしても、2人の女性の息遣いまで伝わってくるようなリアリティーです。
よしもと 私はいつも小説を書き始める時、登場人物の容姿をはっきり思い浮かべているんです。知っている人がモデルというわけではないんですが、本当に生きている人、という感じなんです。大まかなプロットさえあれば、後はその人たちが勝手に動いてくれる――ちょうど映画を撮影しているような感覚なんです。
――作者が小説を支配している、というわけではなく……
よしもと ええ。映画でいえば監督である私が、時間の流れの中でどこを切り取るかだけがオリジナリティーで、別の人が別の角度から撮れば違った作品になる――と思っています。だいたい、小説が終わっても、登場人物たちはその後も生き続けていく、そう信じていますから。
――では旅から帰った後、2人の人生はどう変わっていくのでしょうか?
よしもと いえ、あんまり変わらないんじゃないでしょうか(笑)。ただ少しだけいい加減になって、楽に生きられるようになるかもしれません。
 日常が続いて行く、そのこと自体が一番大事なことなんだ、と。それが小説を読んでくれた方に伝われば、とてもうれしいです。私自身仕事と子育ての両立も大変ですし、両親を亡くして精神的にしんどい思いもしましたけれど、やっぱり作家としてもひとりの人間としても、人生に対して肯定的でいたいですね。
――「スナックちどり」というタイトルは、ちどりの祖父母がスナックを経営していたことにちなんでいます。イギリスを舞台にした小説としては意外な感じもしますが、読み終わると、“これしかない”と納得します。
よしもと もともとバーみたいな小洒落た場所よりも、商店街の中にあるようなスナックの方が好きなんですよ。バーって、お客の方もバーテンダーも、店に入ってきた時から帰るまでテンションが一貫して変わらないでしょう。あれがつまらない。スナックだと、最初のうちはきちんとしていても、途中からだんだんどうでも良くなってくる(笑)。ママもいつの間にか商売を忘れて客の隣に座っていて、愚痴を聞くどころか、逆に説教していたりする。ああいうぐだぐだな感じがサイコーに好きですね。
――なるほど(笑)。「日本人の心のふるさと」という言葉まで出てきますからね。
よしもと 小説もそんな感じで、リラックスして読んでもらえれば、と思います。https://books.bunshun.jp/articles/-/1370?page=2

2015.9.1

おとなになるってどんなこと

p8「おとなにならなくっていい。ただ自分になっていってください」
p28「正しく行動すれば、胸のつかえはなくなる」
P31「いちばん大事なことは、自分の中にいる泣き叫んでいる子供を認めてあげること。ないことにしないことです。そうすると心の中に空間ができて、自分を大丈夫にしてくれるのです。・・・大人になるっていうことは、子供の自分を抱えながら大人を生きるということです」
p90「・・・自殺が近づいてきたなと思ったら落ち着いて生活を整えて下さい。朝は決まった時間に起き、なるべく体を動かし、眠れなくても早く布団に入って下さい。インターネットに費やす時間も制限し、淡泊で良質なものを食べ、煩雑な人間関係やお酒とか性欲にはあまり近づかないで、貯金を取り戻すのです・・生命のエネルギーを取り戻すのです・・」


2014.11.30〜

よしもとばなな「花のベットで昼ねして」(2013.11)

よしもとばなな「さきちゃんたちの夜」「すばらしい日々」「ジュージュー」「どんぐり姉妹」「アナザーワールド4」「サウスポイント」
6/29よしもとばなな「まぼろしハワイ」その2
6/28「まぼろしハワイ」よしもとばなな・・その1
よしもとばなな&内田春菊「女ですもの」
posted by りょうまま at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | よしもとばなな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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