2020年10月15日

桜木紫乃「家族じまい」「ふたりぐらし」「砂上」「無垢の領域」「ラブレス」「ワン・モア」

2020.10.14水 再び読み始めた・・・昨日まで若林さんの本を読んでいたので、現実へ引き戻された感あり。登場人物の年齢も似てるし

第1章 「智代」 ・・だらだら続いて、伏せんがいっぱい広がって。 第2章「陽紅」 「陽紅」ようこ26才、母は聖子55才、結婚と離婚を5回繰り返しいまはワンルームマンションに一人ですみスナックを経営している。悩む前に走り出すタイプで「陽紅」は「ようこ」ではなく「ぴんく」名付けた。(名付けた理由は当時ピンクのモーツアルトという曲がはやっていたから)、陽紅は22才のとき結婚離婚をして、現在は農協勤め。智代の義母「片野うた子」に請われて(孫がほしいから)弟涼介55才と結婚しようとしている。陽紅はパン屋開店の夢を持っていた。

※ 聖子のような人物は大好きだ、はちゃめちゃで明るい。智代は普通・・円形脱毛症に悩まされている啓介は、子供二人が独立して気が抜けたようだ・・むなしさを感じている。・・「でかい人生にしたい」と熱望した父は思い描いた人生にはならず年老いて、その父の女遊びに悩まされた母は天使(認知症)になった

p65 聖子は陽紅に言う、「請われて嫁になってみるのも経験さ。やっぱり駄目だと思ったら、もらうもんもらって別れなさい。お前は若い、やり直しがきくうちに結婚でもなんでもやっておきなさいよ」

片野家は離農しており資産家。 p79「この町ではご近所の噂話がいちばんの好物」

※ 55才にして女性未経験かもしれない涼介の取り扱いについて指導する聖子の物言いはさばさばとしているが、陽紅の気持ちには寄り添ってくれない

涼介は両親をあんしんさせるために陽紅と結婚・・(※あんまりではないか!!するつもりがないならそう両親にいうべきだった)

p94 好きなだけではできなくて、好きじゃないとできないこと・・仕事と結婚はよく似ている

涼介はさらに・・孫を望む両親へ「子供をなんとかしたいと思っている」といいう・・(・※最低の男だ!!!)さらに、どんな方法でもいいから子供を作ってきてほしいと陽紅へいう 。無意識の狡さ・・涼介がいちばん優先させたいものは「己が傷つかないこと」
陽紅は元夫と関係を続け妊娠した

第3章「乃理」。。高1聖也、中一次男、小4長女 函館の借家で10年暮らしている。44才、パスタ専門店でランチタイムのアルバイトをしている。毎日、認知症の母サトミに電話をする。3才年下の夫徹は優しい。その優しさは万人に向けられた親切に似ていると乃理は考える。
釧路に住む父親が体調を崩し救急車を呼んだ日・・夫の徹の言葉から p130徹は人としてなにひとつ間違ったことを言っていない・・ことがキツイ (※あぁ・・自分もまっとうな人正論をかざす人が苦手だ・・どーも信用できないときがある・・妬み嫉妬だともおもうのだが)

p152 乗と父親の会話・・「嫁に行った娘に世話になることだけはしないでおきたいと思った」「嫁に行ったって親は親だもん、お互い心配するのは当たり前だよ・・」( ※ しらじらしい・・背中がぞわっとする・・)
徹は乃理の両親に函館にきてもらったらどうかと提案し、乃理父はそれを受け入れる、別荘として函館に一軒家を購入するという。乃理は親に選ばれたのだ。・・・・乃理は良い娘、良い妻、母になるために・・飲酒を続ける・・父は言う「お前は俺と同じ性格らしい。人に勝つか一発あてないと安心できない性分・・なんでもない日常なんてのはえらく耐えがたいものなんだろうな」・・( ※ 乃理のことが理解できない・・

第4章「紀和」 音大を卒業後旅行会社に勤めたが半年で退職、サックスの演奏活動にはいった。20代半ばで母とふたり暮らし。離婚で別れた父とは良好な関係だ、楽器も父に買ってもらったし、今もお小遣いをもらっている。  父に都合のよい娘に育った感は否めない。ピアノ奏者篠原は「お前は気分が顔に出るから演奏家に向いていない」という・・紀和はフェリーの演奏中、老夫婦に会う(この夫婦は乃理と智代の両親)老人(乃理と智代の父)はいう。「好きでやっているというあきらめが助けてくれる」「学ばないこと、負けん気が強いことが災いして人に勝つことばかり考えてきた・・娘ふたり生まれても年に一度の大会が最優先だった・・

第5章登美子 82歳長く旅館の中居をしてきた。50のころ離婚。今は漫画本を読むか編み物をして暮らす。阿寒から釧路に住む娘「萌子」60歳のもとへ行く。下の娘は「珠子」 萌子は45歳のころ離婚、萌子の娘は父親についていった。 萌子は鍼灸院に勤める傍ら健康体操の指導もしている。「私、今日で母さんを捨てることにしたからよろしく。結婚することにした、母さんて情がない。暇さえあれば漫画と編み物・・子供は産みっぱなし放し飼い、珠子が入れ墨の男と出た後の心配もしない、夫が亡くなっても涙も流さない、あんたには家族ってものがないんだよ」・・帰り道、登美子は妹の「サトミ」を思い出した、どうしているだろうと。


10/15朝読了・・家族とはやっかいなものだ・・いや、あらゆる人間関係がやっかいなんだ・・いや生き続けることが厄介なんだ。。と様々思う
第1章「智代」こそだらだらしたが、第2章からは一気読み・・「陽紅」「乃理」「紀和」「登美子」各人とその家族の物語・・(すべて違う物語を描く作者さんすげぇっ)家族ってなんだろう、幸せの象徴の様子を見せるときもあれば、うっとおしい重苦しい、憎しみが渦巻く場の時もある・・家族なんてくそくらえっと思ってみても・・「個」の時間が続くと、少し寂しい・・生きていくって本当に大変だ。感想はまとまらない。。私は「登美子」さんタイプかなあと思ってみる。


2020.10.3

90. 家族じまい 2020.6

北海道江別市に住む理容師パート主婦智代48歳、息子の高校受験を機に自宅購入から8年、子供2人は独立し夫婦二人暮らしになった・・夫には10円玉のハゲが現れ、函館に住む妹からは「母が認知症のようだ」と連絡がはいる・・最初の3ページくらいで、あぁ私たち年代の話だ、読みたくない!!・・そう、私も大事なことからは目をそらして生きているの。。(最後まで読みます・・気になるもの)

★★★

北海道江別市に住む理容師パート主婦智代48歳、2、3年ごとに転勤の「しなやかな柳のような男」夫、子供二人とともに北海道内を移動していた(風に吹かれるように圭介の人生と手をつないで生きてきた)が8年前、息子高校受験前に自宅を購入、子供たちは独立し、今は夫婦ふたり暮らしとなった。「空の巣症候群」はきていない。暮れ間近、夫啓介の頭に10円玉はげを見つけ、函館にすむ妹からは「母親が認知症のようだ、我が家には受験の子供がいるから様子を見に行ってほしい」と連絡がはいる・・

智代はほぼ実家とは絶縁状態、実家は理容店だったが父親が潰した。お客だった圭介と家を飛び出すように結婚した。

日々の生活に追われ、根本的問題からは目をそらして生きてきた

p7 日常に生まれるずれや違いに気づくのは、交わす言葉ではなく、顔色がいい悪い、あるいは機嫌がいまひとつ、風邪気味か飲みすぎかといった、わかりやすいことばかりだ

★★




2018.11.30   「ふたりぐらしCIMG2153.JPG   p70「必要じゃない仕事なんてないと思います」


ふたりぐらしインタビュー

2017.12.25(月)砂上・・実に面白かった!!!


2016.1.4(月)

無垢の領域(2013.7)

2014.2.16(日)〜2/17読了・・2013年島清恋愛文学賞受賞作

ラブレス」(2013.2〜)

北海道釧路近く(。。でもない・)貧しい開拓村で育った百合江と里美の人生の物語。開拓民の両親を持つ百合江は・・あまり物事を深く考えず、くよくよせず前に前に進んでいく・・

※ふと・・里田まいちゃんやジャンプの葛西選手の顔が浮かぶ。二人とも道産子だ。明るくてたくましいイメージがある。そして道産子はとっても情にあついのだ(とても親切・・)
北海道・・特に帯広あたりまで行くと・・あまりにも広大すぎて、悩むことがばかばかしくなってくることを思い出す。。ただただ圧倒される広さだった。。懐かしい・・

※小説には・・2人の娘、理恵と小夜子も登場
ラスト。。理恵は小説家になろうとしていて、百合江と里美を題材に小説を書こうと決める
書かずにはいられなくなるのが小説家なのだと。
小説家のおかげで、さまざまな人生を送った人間たちを知ることができるのだなあと思う

※小説のラスト・・百合江は宗太郎に看取られながら黄泉の国へ行く・・というお話はできすぎだとは思いつつ泣けてくる・・こんな人生の終末だったら悪くないよねと思わせるにはよいんだろうなあ。「帳尻あわせ」という言葉が理解できる

ラヴレス

桜木紫乃/著


愛は要らない、と言える狡(ずる)さも愛が欲しい、と叫べる強さもその女にはなかった。それでも――。

父親の酒と暴力に支配される愛のない家――。北海道の開拓村から奉公に出された百合江(ゆりえ)は、旅の一座に飛び込む。「歌」が人生を変えてくれると信じて。押し寄せる波に翻弄されながら一切の打算なく子を守り生き抜いた女の、他人の価値観を寄せつけない「見事」な生が、息もつかせぬ圧倒的な筆力で描かれる。新感覚のストーリーテラー北に現る。

桜木紫乃『ラブレス』|新潮社

もはや“悪魔的”。なんという小説なんだ……。村上貴史

 桜木紫乃の一年ぶりの長篇である。前作『硝子の葦』は、もう手放しで絶賛するしかない出来映えの一冊だったのだが……今回の『ラブレス』はそれ以上だった。
 従姉妹の杉山理恵からの電話を受けた清水小夜子が、理恵の母である杉山百合江の様子を見に行くことになる場面で、序章は始まる。この十ページほどの序章で、桜木紫乃は、小夜子と理恵という四十代半ばにさしかかった従姉妹の暮らしぶりや、二人の母である百合江と妹の里実の間がぎくしゃくしていることを簡潔に読者に伝え、そして生活保護を受けていた百合江が古い町営住宅で、ある位牌を手にして意識不明に陥っている姿を提示する。そんな百合江を発見した小夜子と里実が救急車を呼んだところで序章は終わる。
 続く第一章の冒頭には、昭和二十五年頃の標茶町の描写が置かれている。生まれてすぐ父の妹に預けられていた里実が、十歳になってようやく姉の百合江や三人の弟たち、そして両親と一緒に暮らすことになるという場面だ。夕張という当時の北海道にあってはそれなりに進歩的な町から、全くの田舎町である標茶に唐突に送られた里実が抱えた衝撃と、それにしてもあまりにかたくなな里実の態度に反発する周囲の人々が描かれ、暮らしぶりが上向かずに酒におぼれる父の姿が描かれる。百合江は、中学を出て薬屋に奉公に出されることとなり、その壊れかけた家庭をあとにする。そしてさらに、薬屋での不愉快な出来事を契機に、十六歳にして旅芸人の一座に加わり、この土地を去ってしまう。
 こうして幕を開けた『ラブレス』は、そのまま人々が居場所を探す物語として進んでいく。百合江と里実を中心に、小夜子と理恵を加え、彼女たちが過ごしてきたいくつもの時代のエピソードを積み重ねて。
 第一章の冒頭を眺めてみると、里実が、夕張の居場所が偽物であり、実家でも居場所を見つけられずにいる様が描かれている。その一方で、奉公に出された百合江が、自らの決断で新たな居場所を求めて動く――それも定住地を持たない旅芸人一座に居場所を求める――様も見ることになる。しかもその彼女たちの姿を、読者は序章でいったん娘たちの(特に小夜子の)視点に同化させられた直後に、今度は百合江と里実の立場から見せつけられるのである。いやはや、淡々とした筆致で綴られる彼女たちの姿のなかから、なんと複雑な香りが立ち上ってくることか。
 夕張から標茶、標茶から旅芸人へという地理的な面での居場所探しは、釧路、東京、仙台など、その後も本書全体を通じて続けられる。百合江だけでなく里実も動く。彼女たちの親や弟たちも動く。そんななかに、土地を巡る詐欺のエピソードを放り込む桜木紫乃のセンスたるや、もはや悪魔的というしかあるまい。さらに、そうした居場所探しを続けた人々が一度は過ごした土地である標茶を、終章で理恵と小夜子が訪れるシーンもあり、それも心に深く深く沁みてくる。
 彼女たちが地理的に移動したのは、生活のためでもあるが、本質的には人間関係のなかでの居場所探しだ。親子、夫婦、姉妹。著者は、各登場人物についてしっかり人として造形し肉付けしたうえで、これらの人間関係を、様々な角度から幾度も吟味している。それも、たとえば従姉妹という関係の背後に隠された事実をあとから提示するといった手段を通じて巧妙に読者を操り、読者をも巻き込む形で吟味しているのだ。それに際して著者は、語ること、語らないこと、語るタイミング、そして語り手をきっちりと計算している。そのうえで各人の各時代のエピソードを縒り合わせ、テネシー・ワルツの歌詞などを絡めながら、一本の長篇としてつなぎ目がなくなるまで磨き上げたのだ。そんな一冊だからこそ、本書は“小説の力”を改めて体感させてくれるのである。
 最後にもう一言。この小説において人と人をつなぐのは、縁である。縁であって愛ではない。唯一の純粋な愛情は、愛のない身内によって破壊される。『ラブレス』という象徴的な題名を戴くこの作品はそんな一冊なのである。それでありながら、だ。読み終えたあとで読者の心には愛が残る。なんという小説なんだ……
(むらかみ・たかし 書評家)

桜木紫乃『ラブレス』|書評/対談|新潮社


★★★

2013.12.3(火)

桜木紫乃「ワン・モア

ワン・モア 桜木紫乃著 寡黙な女性医師の胸打つ決意 (文芸評論家 北上次郎)

[日本経済新聞夕刊2011年12月7日付]

 柿崎美和というヒロインの造形が素晴らしい。

 安楽死スキャンダルに巻き込まれ、市民病院を追われて小さな島の診療所に赴任したヒロインだ。7歳年下の漁師と夜毎逢瀬(よごとおうせ)を続け、島内で噂になっても気にせず、漁師の妻に罵倒されても心を動かさない女性医師だ。

 その美和が島を離れるのは、高校時代の同級生で実家の個人病院を継いだ滝澤鈴音が癌(がん)にかかったからだ。滝澤医院の面倒を見てくれないかと鈴音に頼まれたからだ。

 いつも寡黙なその美和が周囲が諦めているなかただ一人、「わたしが治す」と宣言するシーンにまず胸を打たれる。

 市民病院では内科の神様と言われ、鈴音が独立するときに滝澤医院に移ってきた看護師浦田寿美子49歳のひそやかな恋、美和と鈴音の高校時代の同級生で、市民病院の放射線科の技師八木の屈折した思い。鈴音の元夫でまた一緒に暮らしはじめた志田拓郎の戸惑い。そういう周囲のドラマをきっちり描いて、たっぷりと読ませる。キャラクター造形が群を抜いているのでどんどん引き込まれていく。読み終えてもずっと残り続ける連作集だ。桜木紫乃の傑作だ。

★★★★

(文芸評論家 北上次郎)

[日本経済新聞夕刊2011年12月7日付]

内容紹介
月明かりの晩、よるべなさだけを持ち寄って肌をあわせる男と女。死の淵の風景から立ちあがる、生の確かなきらめき。つまづいても傷ついても、人生は何度でもやり直せる、きっと――。今注目の著者による傑作小説!
内容(「BOOK」データベースより)
月明かりの晩、よるべなさだけを持ち寄って肌をあわせる男と女。傷はいつしかふさがり、ふたたび生まれかわるだろう―。死の淵の風景から立ちあがる生の鮮やかなきらめきの瞬間を情感豊かにつむぐ、今注目の著者による傑作小説。
Amazon.co.jp: ワン・モア: 桜木 紫乃: 本
posted by りょうまま at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 桜木紫乃 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする